◆【特 集】 Q&A 詳細解説 ◆
「納骨110番 Q&A」の中からより問題の深い案件や詳細な解説が必要なご質問を特集して詳しくご説明いたします
【特集1】お墓や納骨堂に姓の違う故人のお骨を納めてはいけないのか?
Q: お墓や納骨堂に姓の違う故人のお骨を納めてはいけないのか?
A: 結論から申しますと墓地(納骨堂)使用者の同意があれば法律上何の問題もありません。
しかしながら、お墓や納骨堂というのは代が変わっても継承されていくものです。 そうなれば「何の付き合いもない遠縁の人の先祖の遺骨をどうして私がめんどうを見なければならないのだ」といった事態になりかねません。 またお参りするにも肩身の狭い思いをしてしまいます。 どんなにご本人どうしが仲が良くても次世代まで仲が良いとも限りません。
したがって、お墓や納骨堂にご兄弟や親戚の方のご遺骨を納めることは、あまり好まし事ではないでしょう。
■詳細解説■
今回のご質問の場合、親戚や兄弟の方のご遺骨で、嫁いで行った娘さんのご遺骨や、 代替わりしていれば姉・妹や叔母様のご遺骨、 時にはそのお孫さんといったケースが考えられます。
そもそも納骨という行為は墓地埋葬法(以下墓埋法)に「焼骨の埋葬」「焼骨の収蔵」定められており、 この墓埋法という法律に従って行わなければばりません。
〈法律上可能なのか〉
上記の回答の通り法律上の問題はありません。ただ墓地使用者の許可が必要。 もし将来遺骨を改葬したり分骨する時にも必ず墓地使用者の許可が必要になります。
〈宗教的に認められるのか〉
宗教上においても合同供養墓があるのですから、宗教違いでなければさほど大きな問題はなさそうです。
時に姓の異なるご遺骨を同じ所に納めると喧嘩する等という方がいますが、 それは生きている私たちのつまらない計らいであって、 まったくの迷心といって良いでしょう。 お墓や納骨堂は死者達が暮らし住む家ではないのですから
実際にご兄弟や親戚の方のご遺骨を納骨することはめずらしいことではありません。 それであれば、お墓や納骨堂に姓の違う故人のお骨を納めても何の問題もなく、一緒にしても良い事だと思えてしまいます。
しかしほとんどの場合同じ姓の方で、しかもの独り身の方が多く、 姓が異なる場合はよほどの事情がなければその姓のお墓か、 あるいは新たなお墓や納骨堂に納めるというのが一般的であることも事実です。
また、墓地使用規約等により制限が設けてあり、墓地・納骨堂管理者が認めない場合もあります。
し たがって、お墓や納骨堂に姓の異なるご兄弟や親戚の方のご遺骨を納めることは、 あまり好まし事ではないと言わざるを得ません。
ではなぜ法律上も宗教上もさほど問題がないというのに、 姓の異なるご兄弟や親戚の方のご遺骨を納めることが一般的でなく、 時には墓地・納骨堂管理側から認められない場合があるのでしょうか。
それには理由があります。後々多くの問題を引き起こしたり、 後の代の方達(ご子孫)を迷わしてしまう要因となるからです。 たとえ姓が同じであっても独り身の方でなければ同じことです。
そこで後々起こり得る問題点を例を挙げてご説明します。
(ケース1)嫁いだ娘さんのご遺骨を実家のお墓や納骨堂に納骨
嫁ぎ先が分家で お墓や納骨堂がなく、しかもお子様がまだ幼く経済的にもお墓や納骨堂に納める余裕がない。 そこで故人の実家のご両親の厚意で納骨をした
この場合、将来故人の旦那さんが亡くなったらどうするのか、子供さんだったらどうなのか。 またお参りに行くにも肩身の狭い思いをすることでしょう。 さらに、故人の実家が代替わりしてゆけば甥御さんが管理しているお墓や納骨堂にご自身の亡き奥様が入っており、 甥御さんに面倒をみてもらっている状態になってしまいます。 まだ甥御さんなら色々と相談も援助もできますが、時には故人の親の兄弟の子孫が継承していく場合だってあり得るのです。
そうなればほとんど他人なわけで、管理等の問題や改葬のトラブル等を引き起こしてしまいます。
(ケース2)父親の遺骨を本家のお墓に納骨
亡くなった父親は本家の兄とは懇親の仲で、幸い本家の後継ぎ(いとこ)とも仲が良く、 姓も同じなので本家のお墓に納骨した
この場合も(ケース1)と同様に母親も本家の墓に納めるのか、 ご自身は、奥様は、子供さんはどうなるのか、 迷いを生ずる要因となろうことは明らかです。 また、今はいとこ同士で交流があっても、お子様の代になれば「またいとこ」となり関係も薄くなっているはずです。 分家の場合、後々の事を考えれば本家とは別にお墓を建てるか納骨堂等に納める事がご自身にも、 あるいは子孫にとっても好ましい事といえるわけです。
独り身の方であればさほど問題はないでしょうが、配偶者がいる場合やお子様がいる場合は、 たとえ姓が同じであっても、たとえ相手方のご厚意であったとしても、 兄弟や親戚の方のお墓や納骨堂にお身内のご遺骨を納めることはできることなら避けられた方が無難です。 またどうしてもご事情のある方は、後々の事までよくお考えになってご判断いただくことを切に願います。
制作:Tomb.Client.Service監修: 真宗大谷派大應寺
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